マンチェスターという街には、2つの“青い伝説”がある。ひとつは、世界を揺るがせたロックバンド「オアシス」。もうひとつは、プレミアリーグの頂点を極めた「マンチェスター・シティ」。このふたつの存在が交わるとき、ただの音楽やサッカーを超えた、街そのものの鼓動が聞こえてくる。本記事では、オアシスとマンチェスターシティの関係を深掘っていく。
オアシス(OASIS)とは
1990年代、イギリス音楽シーンに革命をもたらしたロックバンド「オアシス」。マンチェスター出身のギャラガー兄弟、ノエルとリアムを中心に結成されたこのバンドは、ブリットポップムーブメントの象徴として絶大な人気を博した。
デビューアルバム『Definitely Maybe』や『(What’s the Story) Morning Glory?』はイギリス国内外で大ヒットを記録。荒々しくも美しいメロディ、反骨精神に満ちた歌詞、そして何よりもマンチェスターの路上から生まれた等身大の存在感で、人々の心を掴んだ。

マンチェスター・シティとは
オアシスと同じく、マンチェスターをルーツに持つもうひとつの存在がある。プロサッカークラブ「マンチェスター・シティ」だ。1880年に創設され、現在はプレミアリーグを代表するビッグクラブとして世界中から注目を集めている。
長年、同じ街の「赤いクラブ」マンチェスター・ユナイテッドの影に隠れていたシティは、2008年のアブダビ資本による買収以降、急速に力をつけ、ペップ・グアルディオラ監督の下で黄金時代を築いている。

音楽とサッカーが交差する──オアシスとシティの関係
この2つのマンチェスター発の伝説を繋いでいるのが、ギャラガー兄弟だ。兄ノエル、弟リアムともに筋金入りのマンチェスター・シティファンとして知られており、その熱狂ぶりはイギリス国内でも有名だ。
ライブ中に「Blue Moon(シティのチャント)」を歌い出す(曲を聞く)、タイトル獲得時には選手よりも先にピッチで叫ぶ、地元紙にシティへのラブレターを綴る、彼らの行動は、単なるファンの枠を超え、クラブの「非公式アンバサダー」とも言える存在となっている。
ギャラガー兄弟の熱狂ぶり
中でも、リアム・ギャラガーは、試合後に公式SNSよりも早くスコアを発信するほどの情報通。勝利のあとは「ボンベイサファイアで祝杯だ」と叫び(ボンベイサファイアとは、ロンドン発のドライ・ジン)、敗戦の夜には辛辣なコメントを飛ばす。2012年のプレミア初優勝時には、祝賀イベントにリアムが登場し、「Championes!」を絶叫。スタジアムはまるでオアシスのライブ会場のような熱気に包まれた。
兄ノエルも負けてはいない。タイトルが決まった試合では、試合終了と同時にピッチに飛び込み、キャプテンのコンパニとハグを交わす姿が映像に残っている。彼は音楽業界のスーパースターであると同時に、シティのゴール裏の少年でもある。
印象的なインタビュー抜粋
ノエル・ギャラガーはかつてこんな言葉を残している。
「オアシスの成功と比べても、アグエロが決めた2012年のゴールの方が感動した。だって、あれこそが夢だったからさ。」
リアムもまた、自らのSNSでこう呟いた。
「ペップはオアシスにおけるトニー・マッギー(初期マネージャー)のような存在。天才だ。」
サッカーの勝利が人生の頂点のように語られるこの感覚こそ、マンチェスターという街のカルチャーの核心でもある。
コラボレーション商品と文化的接点
オアシスとシティは、ファッションやカルチャー面でも交差している。2021年にはシティがPUMAとのコラボで、90年代オアシスを想起させるレトロユニフォームをリリースし話題に。リアムのファッションブランド「Pretty Green」はシティカラーのアイテムを展開し、スタジアムでもサポーターに支持されている。

また、スタジアム内ではしばしばオアシスの楽曲「Don’t Look Back in Anger」や「Live Forever」が流れ、選手やファンの士気を高めている。音楽とサッカーが共鳴する瞬間だ。
まとめ:街の鼓動を鳴らす存在
マンチェスターにとって、オアシスとシティは単なる音楽とスポーツの存在ではない。どちらも、労働者の街が持つ魂、プライド、そして再生の物語を体現する象徴なのだ。
ギャラガー兄弟が歌い、叫び、涙を流すクラブ、マンチェスター・シティ。それは、彼らにとって青春のすべてであり、今なお鳴り止まぬアンセムのような存在だ。


