MLBにおける伝統的球団「ニューヨーク・ヤンキース」の本拠地、ヤンキー・スタジアムで行われる「ロールコール」は、試合開始直後にライトスタンドのファンがフィールド上の選手一人ひとりの名前を呼び、選手がアクションやジェスチャーで応える伝統的な儀式だ。主役はライト外野席に陣取る熱狂的ファングループ「Bleacher Creatures(ブリーチャー・クリーチャーズ)」で、彼らの掛け声と選手のやり取りは球場の名物となっている。本記事では、
始まりのきっかけ
ロールコールの起源は、1990年代半ばにさかのぼる。ブリーチャー・クリーチャーズはもともと大声で選手を鼓舞する応援スタイルで知られていたが、当時のキャプテン、ドン・マッティングリーやポール・オニールらが声援に応える場面が増え、やがて1回表の守備時に全選手を順番に呼ぶ「ロールコール」という形が定着した。以来、新加入の選手にとっては、このコールに応えることがヤンキースファンに受け入れられるための通過儀礼となっている。

ライトスタンドの盛り上がり
試合開始と同時に、まずセンターから外野、内野、捕手へと順番に名前をコールしていく。選手は帽子を取ってお辞儀したり、手を振ったり、ユニークなポーズで応えたりする。球場全体がその瞬間を見守り、ライトスタンドの熱気はまるでフェスのような盛り上がりだ。
現在のヤンキース・スタメンとロールコールの反応傾向
2025年8月13日時点の主なスタメンは以下の通りだ。
- トレント・グリシャム(CF)
- アーロン・ジャッジ(DH)
- コーディ・ベリンジャー(LF)
- ジャンカルロ・スタントン(RF)
- ベン・ライス(1B)
- ジャズ・チゾルムJr.(2B)
- アンソニー・ボルペ(SS)
- ライアン・マクマホン(3B)
- オースティン・ウェルズ(C)
現役選手のロールコールへの反応は選手ごとに個性があるが、共通しているのは以下のような傾向だ。これらは過去の伝統を引き継いだものであり、新加入選手にとっては「ヤンキースの一員になった証」としての意味も持つ。
- 帽子を取る:多くの選手が礼儀として帽子を軽く取って応える。
- 手を振る・会釈する:手を挙げたり笑顔で会釈することが多い。
- ポーズやユーモア:時にはおどけたポーズでファンを喜ばせる場面もある。
- あえて遅れて反応:ファンを焦らせて盛り上げるために、数秒待ってから応える選手もいる。
過去の日本人選手の対応
ヤンキースに在籍した日本人選手も、このロールコールに応えてきた。
- 松井秀喜:外野手時代、呼ばれると右手を挙げて笑顔で応える姿が定番だった。
- 井川慶:先発時、ライトスタンドから呼ばれると帽子を軽く取って応えた。
- 田中将大:守備位置のコールには含まれないが、登板日にはグラウンドから手を振ってファンに応じたことがある。
- イチロー:名前が呼ばれると軽く会釈しながらグラブを挙げるスマートな対応を見せた。派手さはないが、その独特の存在感とオーラでスタンドを沸かせた。
観客目線で体験するロールコール
初めてヤンキー・スタジアムを訪れ、ライトスタンドに座ると、その空気の特別さにすぐ気づく。試合開始の合図と同時に周囲のファンが立ち上がり、声をそろえて選手の名前を叫び始める。巨大スクリーンよりも先に、観客同士の連帯感が目に飛び込んでくる。コールが自分の推し選手に近づくにつれ、周囲の声はさらに大きくなり、まるでスタンド全体が心臓の鼓動のように響く。そして選手が手を振った瞬間、ライトスタンドは歓声で爆発し、知らない人同士でも自然とハイタッチが交わされる。この一体感こそが、ヤンキースのロールコール最大の魅力だ。
ヤンキー・スタジアム観戦ガイド
ロールコールを体験したいなら、チケットはライト外野席(セクション202〜204付近)がおすすめだ。
- アクセス:地下鉄4番線またはB/D線「161st St – Yankee Stadium」駅からすぐ。
- 観戦時の注意:声援が非常に大きく、立ち上がる場面が多いので、静かに観たい人には不向き。
- ベストタイミング:1回表の守備時がロールコール本番。それ以外の回では行われないため、遅刻は厳禁。
- 持ち物:声を出す準備と、できればヤンキースのユニフォームやキャップ。

まとめ
ヤンキースのロールコールは、単なる応援ではなく、ファンと選手がつながる儀式だ。過去から現在まで、選手たちはそれぞれの方法でファンの呼びかけに応えてきた。特にライトスタンドでの体験は、テレビでは味わえない臨場感を持っている。ヤンキース戦を観戦するなら、一度はライト外野席でこの瞬間を体感してほしい。

